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【ラロックショップ】スタッフブログ

1 7月

ミシン縫いvs溶着【犬具編】

以前ブログで、犬具の首輪・リード・胴輪などのテープ素材を折り返して部品を留める箇所を、ミシン縫いにした方が強度があるのか?それとも溶着留めにした方が強度があるのか?「ミシン縫い」vs「溶着留め」の戦いをブログに記述するとお伝えしておりました。今回、やっとテストをすることができましたので、ご報告させていただきます。


※こちらで使用する言葉の意味:
●ミシン縫いとは・・・ミシンを使ってテープ素材同士を縫い合わせる。その際ボックス縫いとクロス(X)縫いの組み合わせで縫い合わせる方法
●溶着とは・・・テープ素材同士を着ける面を熱で溶かし、張り合わせて両側から指で押さえて圧着する方法


テストは3種類のテープ素材で行いました。初めは一番多く使われている素材の15mm幅のテープ素材を2種類テストしました。15mm幅は体重5kgまでの超小型犬と体重10kgまで小型犬を対象としております。15mm幅の場合、最低必要強度は70kgとなります(体重10kg x 7倍 ※ペット用品工業会の規定では5倍ですが、私が安全だと感じる最低必要倍率の7倍で計算しています)。つまり、引っ張り強度試験器によるピーク時の数値が70kg以上で合格となります。

テストは、いずれもテープ素材の先端を折り返し(リードの持ち手を作るように)わっかを作ります。そして、テープ素材同士を合わせる部分を3cmぐらいとってミシン縫いもしくは溶着で着けます。現状の犬具は(サイズにもよりますが)素材の折り返しは、だいたい3cmぐらいですので、それに準じた長さで着けています。


犬具ミシン縫いvs溶着犬具ミシン縫いvs溶着

ミシン縫いはコンピューターミシンによるボックス縫いとクロス縫いの組み合わせです。素材をセットすると瞬時に左の写真のように縫ってしまう優れたミシンを使用しています。

ちなみにミシンは工業用ミシンでは有名なJUKI社製を使用しています。工業用のコンピューターミシンになるとさすがに?百万円と高価なものとなります。家庭用のミシンではこの厚みでこれはできないこともないですが、自動でできるミシンは見たことがありません。


犬具ミシン縫いvs溶着犬具ミシン縫いvs溶着

そしてこちらが溶着です(右の写真)。 私が溶着しましたが、正直、ド下手です。職人ではないので、このレベルしかできません。実は、これが後ほどのテスト結果に現れてしまいますが、とりあえず。

引っ張り強度試験器は、以前のブログ「トップリングカラー耐久テスト」で使用したGOTECH社製の試験器を使用しています。

結果はこちら↓


犬具ミシン縫いvs溶着犬具ミシン縫いvs溶着

左の写真がミシン縫いの破断状態で、右の写真が溶着の破断した状態です。そして結果が以下の通りです。

①ミシン縫い:335.73kg / ②溶着:164.08kg
※印刷されたテスト結果は一番下に表示しています。

コレを見て一目瞭然、溶着って弱えーってなりますよね。実はコレが私の職人技にも満たない技術でやってしまった結果なんです。つまり、溶着をする人の腕により大きく左右されます。これは建具の溶接も同じです。熟練さんでしたらしっかり着けることができますが、未熟者ですと、このような結果となります。これがミシン縫いですと、ボタン一つで縫えるので、人の技術力には左右されません。

と言いつつも、よくご覧下さい。ミシン縫いの335kgは脅威の数値ですが、溶着の164kgも大した数値だと言えます。つまりこの15mm幅のテープ素材は最低でも70kgの強度が必要なんですが、溶着はその2.3倍の164kgです。これはこれで15mm幅の犬具としては合格値をはるかに超えています。しかし、ミシン縫いと比べると、残念な結果にはなっていますが。


犬具ミシン縫いvs溶着犬具ミシン縫いvs溶着

次に15mm幅でも別のテープ素材を使って、片方はミシン縫い、もう片方は溶着にして、引張りっ子してもらいました。そのため、どちらかが破断すると、その時点で試験器が停止します。その時のピーク時を計ってみました。

結果はこちら↓


犬具ミシン縫いvs溶着

ここでもミシン縫いが勝利しました。結果は以下の通りです↓

③231.50kg ※溶着が破断した時点で得られた数値です。

どうでしょうか?初めの15mm幅は溶着不良で結果があまり良くありませんでしたので、今回は溶着をしっかり着けました。その結果が同じ15mm幅でも231kgまで耐えることができました。やはり溶着具合によって結果が大きく変わってしまうので、すこし不安を感じますが、231kgの数値には大変満足しています。しかし、ご覧の通り、ミシン縫いには負けましたが・・・。ミシン縫いは安定した強度があることが見て取れます。


最後は、19mm幅の素材もテストしてみました。19mm幅のテープ素材は、体重20kgまでの中型犬向けです。そのため、最低でも140kg(体重20kg x 7倍)の強度が必要となります。結果はいかに・・・↓

犬具ミシン縫いvs溶着犬具ミシン縫いvs溶着犬具ミシン縫いvs溶着
犬具ミシン縫いvs溶着犬具ミシン縫いvs溶着犬具ミシン縫いvs溶着

上2段の写真をご覧下さい。上段がミシン縫いで下段が溶着です。そして、真ん中が破断する前の側面の写真。一番右がそれぞれ破断した状態の写真です。そして結果は以下の通りです。

④ミシン縫い:369.23kg / ⑤溶着:347.81kg

ここまでくると慣れてきたせいか?上手に溶着できるようになってきました。僅差ではありますが、またもやミシン縫いの勝利です。結果3戦3勝でミシン縫いが圧勝でした。しかし溶着もよく健闘いたしました。19mm幅にいたっては347kgもありましたから、耐久性には全く問題ないですね。ただ、ここで色々と判ってきたことがあります。それは以下の総評をご覧下さい。


犬具ミシン縫いvs溶着

左は引っ張り強度試験器でプリントアウトしたものです。上記の記述順に数値が表記されております。Peakが破断した時の数値を表しています。

【総評】
以前のブログでも昨今の犬具は、ほぼすべてミシン縫いに移行し、以前は溶着主流だと記述しました。個人的には今でも溶着がミシン縫いより強いと信じていましたが、結果を見て愕然としました。圧倒的にミシン縫いが強い結果に終わってしまいました。やはりミシン縫いに移行するはずだと実感した次第です。

溶着は、先に述べました通り、職人さんのレベルによって左右されます。それに、溶着する生地の固さや素材の種類にも左右されます。また、素材が違うもの同士では溶着できないというデメリットもあります。例えばナイロンとポリプロピレンでは溶着できません。物質同士が反発しあうようです。その点ミシン縫いは、素材違いなど全く問題ありません。どのような素材同士でも縫い合わせることができます。しかも、これだけ強度があると、ミシン縫い以外の着け方など考えられません。ただ、ミシン縫いにも欠点があります。それは、何かに引っ掛かって糸が切れてしまうと、ほどけてしまう可能性があります。ただこれは、コンピューターミシンではめったに起こったことがありません。それだけ、コンピューターミシンは強度や耐久性も安定しているということが言えるでしょう。

テストは、いずれもミシン縫いと溶着それぞれ単体で引っ張った結果です。つまり、通常の首輪やリードなどは、ミシン縫いが複数箇所あるので、単体で引っ張られることがなく、縫いあわせた箇所や素材そのものが破断することはめったにありません。代わりにここまで引っ張ると部品(バックルやスナップなど)の方が先に破断する可能性があります。(※首輪の強度に関しては「トップリングカラーの耐久テスト」をご覧下さい)

溶着は今でも一部の犬具に使われています。ミシン縫いが不可能な箇所に溶着が用いられますが、上記の通り強度には全く問題ありません。ただ、コンピューターミシンの出現により、時代が溶着からミシンへと移行したことをつくづく実感いたしました。それも単一な素材だけで作る犬具ではなくなってきたことも影響してます。ナイロンやポリプロピレンはもちろん、リボンなどのポリエステルやデニムにニットなども犬具に使われるようになりました。デザインの多様性もコンピューターミシンを必要とする時代になったように感じます。



link:トップリングカラーの耐久テスト : 引張り強度試験器【動画】
link:


12 6月

MBD チョークカラーバックル付き

チョークカラーバックル付き

チョークカラーバックル付きのご紹介です。
通常のチョークカラーでは、頭からかぶせて装着するタイプが主流ですが、こちらはバックルが付いて、頭を通すことなく装着できるようになっている便利な機能付きチョークカラーです。



チョークカラーバックル付き

頭を通す必要がないということで、ワンちゃんによっては首回りに比べ頭回りが極端に大きい子や、頭を通すのを嫌がる愛犬にも向いています。特に頭回りが極端に大きい場合、普通のチョークカラーですと、頭回りにサイズを合わせるため、首回りが緩々になり、伸びきったTシャツのようにだらしなく見えたりします。
チョークカラーバックル付きは、そのような問題を解決します。



チョークカラーバックル付き

クサリと違い、テープ素材のみで作られたチョークカラーは、ゴールデンレトリバーなどの長毛犬種につきものの毛抜けの問題を解決します。
どうしてもクサリは毛を絡めてしまい、引っ張った際ごっそり毛が抜けたりします。その点、このチョークカラーは毛が絡まることはありません。また、クサリではないので、首輪の重量が軽くなったのも、愛犬への負担を和らげます。



チョークカラーバックル付き

ただ、合図の伝わり方ですと、クサリの方が伝わりやすいように思います。締め付けに関しては同じですが、クサリの場合、引っ張った時にクサリ独特の音がします。その音も合図になったりもします。
しかし、こちらのチョークカラーは引っ張った際、2つの金属製四角カンが重なり合うことで、金属音を発します。それがクサリの代わりになります。ただ、本来は締め付けることで、引っ張りを止めさせるように躾けるものですから、どちらのタイプも十分機能します。あとは、毛抜けと頭の大きさが気になる愛犬には、こちらのチョークカラーバックル付きがおすすめです。



link:MBDチョークカラーバックル付き



ギャラリー

チョークカラーバックル付きチョークカラーバックル付き
8 6月

トップリングカラー耐久テスト

トップリングカラー

前回のブログでトップリングカラーを紹介した際、通常のノーマルタイプの首輪より耐久性があると書きました。はたして、それは事実なのか?ということで、今回は実際に強度試験機を使ってテストをしてみました。その結果はいかに・・・

左の写真は、身近にある材料を使ってノーマルタイプの首輪(左側)とトップリングカラー(右側)を作りました。普通ならサイズの調節部を入れるのですが、今回はテストということで、そのサイズ調整部は省きました。だからサイズ変更不可の首輪となりました。

各部品の留め方で、テープ素材を折り返し部品を挟んでミシン縫いをするところですが、工業用のミシンがなく、熱で溶着して取り付けています。
※余談⇒昨今の犬具は、ミシン縫い主流となっていますが、一昔前は熱による溶着が主流でした。実は、ミシン縫いと溶着では、ミシンの縫い方によっては溶着の方が強度があるかもしれません。ではなぜ、耐久力のある溶着からミシン縫いへと移行したのか?次回以降のブログで、テストも含め検証していきたいと思います。


トップリングカラー

強度試験機は台湾のGOTECH社製を使用しています。強度試験機では国産の島津製作所が有名ですが、正直、価格が高いです。台湾製だとその1/3か1/5ぐらいで買えます(※昨今の円安で価格はわかりませんが)。その代わり、メンテナンスは自分でしなくてはなりません。もちろん修理には誰も来てもらえません。だから慎重に使っています。しかし、そんな簡単に故障するものでないので、今のところ順調に動いています。

その強度試験機に首輪をセットします(右写真)。いざテストへ!
首輪は19mm幅のテープ素材で作った通常の首輪と、同じく19mm幅のトップリングカラーをテストします。1本ずつセットして、速度はマックス(と言いましても、ジィーーーという機械音とともにジワジワ引っ張るというもの)にして、スタートボタンを押してテスト開始。結果は次の通りです。


トップリングカラー

左がテスト結果です。首輪が破断したところで試験機が止まります。その破断した時の重量が記載されます。

はじめにテストしたノーマルタイプの首輪が183kgで、次にテストしたトップリングカラーが48kgです。どうですか?ってトップリングカラーの方が弱え~って思いますよね。実はこれ、私の製作ミスです。本来首輪で使われているリングを使用せず、市販のリングを使ってしまった結果なんです。

市販のリングとは、手芸屋さんで売っているリングで、1本の線材を丸い形状するとアルファベットのCの字になります。そしてリングの閉じる部分に、Cの字のように開いた口ができます。市販品はリングの口が開いた状態のまま販売されています。普通の手芸品はこれでOKです。しかし、首輪で使われているリングは、リングの口を溶接でくっつけてしまい、口が開かないようにしています。これは同じ線材を使っていても、強度は大幅に違います。
そのため今回のテストは、口が閉じていない市販品を使用したために、リングの口が容易に開いてしまい、このような結果となってしまいました。



トップリングカラートップリングカラー

※(左の写真)右が市販されている口が開いたリングで、左が溶接で口が閉じられたリングです。(右の写真)テストで完全に口が開いてしまったリングです。このようなリングだと、あまり耐久性は期待できません。



トップリングカラー

再度、19mmの素材で、しかも本来のリングを使用してトップリングカラーを作ってみました。さて、その結果は??



トップリングカラー

右の結果シートでわかるように、本来のリングを使用した首輪は411kgの強度がありました。つまりノーマルタイプの首輪の183kgと比較しても約2.3倍の強度があるということがわかります。

この数値って実際はどうなの?
実はノーマルタイプの首輪の強度では、183kgは大変良い結果なんです。と言いますのも19mm幅の首輪は一般的に20kgまでの中型犬仕様となっています。ペットにはよくあるJIS規格みたいなのがない代わりに、ペット用品工業会が定めた規定があり、それによると体重表記の5倍の強度があれば良いとされています。つまり20kgの仕様に対して5倍の100kgの強度があれば十分ということになります。実は個人的にはこの倍数には疑問を感じてまして、本当に5倍で大丈夫?って気がしています。


トップリングカラー

この規定が作られる前は、個々のメーカーによって規定が異なっていました。あるメーカーでは5倍で、あるメーカーでは7倍。最悪は規定そのものがなく、強度試験も行わないメーカーもあったりして、それが発端で業界的に規定を作ったとされています。個人的にはやはり愛犬は固体により性質が異なるため、5倍ではやや不安で、最低でも7倍というのが妥当じゃないかと考えます。

さて、そのことも含め結果を見ていくと、ノーマルタイプの首輪でも183kgの強度があるので、20kgの愛犬に使用しても問題はありません。トップリングカラーにいたっては411kgという結果なので、まったく問題ないですね。この数値を7で割ると50kgぐらいの愛犬にも耐えることができますが、常識的には考えられません。

もっとも試験は室内で適正な室温が保たれている環境で、引っ張るスピードもジィーーーといった遅めの速度なので、一般に使われる状況ではありません。そのため、そういった異なる環境の差も考慮して、5倍、7倍という数値が定められています。これでも今までの経験上、間違いないと思います。

よほど躾がなされてない大暴れする愛犬は別ですが・・・。犬ぞり用の大型犬種でも、瞬間引っ張り強度は500kgぐらいです。これは犬ぞり用ハーネスを用いての結果です。これが首輪だと、犬の首がへし折れてしまいます。そのことからも20kgの愛犬仕様のトップリングカラーとしては、上出来な結果ではないでしょうか。


トップリングカラー

ついでに、15mm幅の首輪でもテストをやってみました。15mm幅は通常10kg前後の小型犬仕様です。結果は果たして・・・



トップリングカラー

小型犬仕様のノーマルタイプの首輪は122kgで、トップリングカラーは397kg。約3倍の違いになりました。やはりトップリングカラーの強度は確かです。

バックルへ直接テンションをかけるか(ノーマルタイプの首輪)、間接的にかけるか(トップリングカラー)によって随分違う結果となりました。だから少しやんちゃだな~と不安なワンちゃんには、こちらのトップリングカラーをおすすめします。しかし、毎日使う首輪ですから、使用環境や状況によっても耐久性が違ってきます。強度試験としての結果は結果として、日々のお散歩前の点検だけは、お忘れなく行って欲しいと願うばかりです。



トップリングカラートップリングカラー

左がノーマルタイプの首輪、右がトップリングカラーの破断状態です。しかし、いずれもテープ素材を折り返してくっつけている溶着部分は破断してませんでした。次回はミシン縫いと溶着の強度と違いをテスト結果も含め説明したいと思います。





link:トップリングカラー : 引張り強度試験器【動画】
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